オリジナル"NutRocker"
先週友人が、NHK-FMから「NutRocker」が流れていたので、懐かしく聴いていたけれど...??!!何か違うと思ったら、B. Bumble & The Stringers という60年代初期のバンドのオリジナル、この番組とても勉強になりました。と、WEBに書いていたので、今日はその曲について。
「NutRocker」といえば、エマーソン、レイク&パーマー、71年のライブアルバム「展覧会の絵」収録のアンコール曲が有名。シングルカットされ、当時日本でもかなり売れた。グレッグ・レイクが"Once more music!"とMC後、キース・エマーソンのホーナー・クラビネットで響くintro。エマーソンの奏でるキーボード、MoogⅢC、Minimoog、ハモンドC-3、L-100...。次に
どんな音、どんなメロディーが出て来るんだろうと、スペクタクル映画を見るように、ワクワクしながら聴いていた。あんな楽器に一度でいいから囲まれて演奏したいと、夢見ていた。ほんとにProgressiveな時代だった。
原曲は、チャイコフスキーの「胡桃割り人形(NutCracker)」。なのに、アルバムにはKim Fowleyという名が書かれていた。この人は誰?。そう思った人も多くいるだろう。Kim Fowleyは1942年生のアメリカ人。現在63歳。西海岸を中心に、1960年前半から、シンガー、ソングライター、アレンジャー、レコードプロデューサー、プロモーター、マネージャー、パブリッシャ
ー....etc...幅広く音楽活動を展開。これまでに43枚のゴールドディスクを獲得したカルトな音楽業界人。フランク・ザッパ&マザース、ビーチボーイズ、バーズ、ブレッドのデビッド・ゲイツ、レオン・ラッセル、アリス・クーパー、ブルー・オイスター・カルト、プラスチック・オノバンド、キャット・スティーブンス等多くのミュージシャンのプロデュース、共作。中でも、リタ・フォード、ジョーン・ジェットのいた、ラナウェイズのマネージャーとして、一世を風靡、キッス、ヘレン・レディ、スレイドなどにも楽曲提供して大ヒット。プログレ関連では、アディエマスのリーダー、カール・ジェンキンスが参加していた、ソフトマシーンのデビューシングル「Love makes sweet music」など4曲をプロデュース。Mike Oldfieldと交流のあった、Pekka Pohjolaが参加していたフィンランドのバンド、ウィグワムのプロデュースなどもしてきた。そんな彼が、62年、B.Bumble & The Stringersのアレンジャー、出版者として、発表されたのが、「NutRocker」だ。
EL&Pはキーボード、ベース、ドラムのトリオ編成だが、このB.Bumble & The Stringersはギターを加えたカルテット。架空のスタジオセッションバンドなので毎回メンバーは違っていたが、Al Hazan(Piano)、Sharky Hall(Drums)、Ray Pohlman(Guitar&Bass.The Fifth Dimension、BeachBoysのPetSounds、TheByrdsの初期レコーディング等多数参加)、Carol Kaye(Fender Bass.有名な女性スタジオベーシスト、BeachBoys等多数参加)らPhil Spector's Wrecking Crew(※Leon RussellやDr.John(本名:Malcolm Rebennack)も参加していた)のメンバーが中心となっていた。クラビネットではなくホンキートンク風ピアノがリード。間奏はなし。とてもシンプルな曲構成だ。EL&Pにはブギウギ風な間奏があり、大変複雑で、ライブで弾くなんてすごいテクニックと当時は感心していたが、後にスタジオで重ねた音だと知った。
B.Bumble & The Stringersは上記の通り、アメリカ・ハリウッドのセッションバンド。クラシックやスタンダートをポップでダンサブルにアレンジしてヒットを飛ばしていた。実はこの曲、Del Rioという小規模レーベルから、H.B. Barnum(本名:Hidle Brown Barnum1936年7月15日ヒューストン生。ギルバート・O・サリバンや、オズモンズのアレンジャーとしても活躍)がJack B.Nimbleという芸名で演奏したデモバージョンが既にレコーディングされていた。だから本当は、こちらが真のオリジナル。1962年のある朝、Al Hazan(本名:Ali Hassan/歌手名:Al Anthony/シンガーソングライター・プロデューサー)は、Rendezvous Recordsの社長、Rod Pierceから電話があり、これからレコーディングがあるのだが、Ernie Freeman(1922年8月16日クリーブランド生。81年5月15日ハリウッドにて没。フランク・シナトラのピアニスト、サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」のアレンジャー)の代役でピアノを弾くよう頼まれる。しぶしぶスタジオに着くやいなやJack B.Nimble版を手渡され、ピアノを習得するようにいわれた。(このJack B.Nimble版は後にDot Recordsから発売された。)たった30分聴かされた後、いきなりレコーディング。他のメンバーと上手くリハーサルも出来ていなかったし、その演奏にAl Hazanは不
満だった。が、社長Rod Pierceは大変気に入り、1テイクでレコーディング終了。レコーディングに使われたハリウッド、Selma AvenueのRendezvous Recordsスタジオはとてもプロフェッショナルとは言い難い所で、事務所の待合室兼用ブースにアンペックスのレコーダーと、数本のマイクがある程度。ジョン・ウェインの西部劇映画に出てきそうなホンキートンク(rinky-dink)なサウンドにするため、アップライトピアノのハンマーには金属製の画鋲が挿されていた。
しかし、僅か数週間後、ラジオから流れはじめたら、ミリオンセラーの大ヒット。全米23位。更にイギリスでも大ヒット。Al HazanはB.Bumble となり、出版者のKim Fowleyと共にプロモーションのため渡英。テレビ番組にも出演。全英堂々1位となった。
Bumble Boogie(原曲:リムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」)、Apple Knocker(原曲:ロッシーニ「ウィリアムテル序曲」)など、ブギを基調にポップでダンサブルな、インスト曲も演奏。ベスト盤は数種類出ているようだが、EL&Pのようなキーボート中心のプログレファンにはお薦め。
蛇足だが、キーボーディストAl Hazanはその後数年間音楽活動を続けた後、UCLAで心理学の博士号を取得。現在はサイコセラピストとして活動中。
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Comments
TBありがとうございました。逆TBさせて頂きます。
これからもちょくちょく見に来ます。
Posted by: HARAKO | Jan 22, 2006 at 06:31 PM
勝手にTBさせていただきましたが、
素人な私のブログにも来てくださって、情報をくださいましたこと御礼申し上げます
Posted by: レモン | Dec 27, 2005 at 08:40 AM
TBありがとうございます。逆TBさせていただきました。今後ともよろしくお願いします。
Posted by: ukiki | Dec 23, 2005 at 02:52 PM
TBありがとうございました。逆TBさせていただきます。
ナットロッカーについての詳しい解説、楽しく読ませていただきました。こちらのブログにもときどき遊びに来ますので、よろしくお願いします。
Posted by: major_keys | Dec 20, 2005 at 10:10 PM
トラックバックありがとうございました!
"Nutrocker"がクラシック曲のアレンジであるということは知っていましたが、60年代のバンドのオリジナル曲だとは知りませんでした。勉強になりました。
Posted by: ミスタームッシュ | Dec 20, 2005 at 10:23 AM
トラックバックいただき恐縮です。そうだっでのですか。原版があったのですね。しかもあのランナウェイズのマネージャーとは。それにしてもThe Bellさんのブログは読みごたえがありますね。うらやましいような・・・どうぞ今後とも御精進くださいませ。
Posted by: タリスマン | Dec 20, 2005 at 02:34 AM
TBありがとうございました。
懐かしいバンド名が、バンバン出て来ますね。
キース・エマーソン以上のロックのキーボード奏者は、私の中では、あり得ません・・。
それ位に、凄かったです。
「タルカス」とは懐かしい。LP持ってます☆。
「展覧会の絵」と並んで、名盤です☆。
Posted by: Ron | Dec 19, 2005 at 10:39 PM
TBありがとうございます。
原版あったとは、びっくりしました!
もっと驚きなのが、奇遇と言うか・・・・
お店をやっているのですが、名前が同じBELLだった事です(私事ですが)
同じBELLつながり、宜しくお願いいたします。
Posted by: GAMO | Dec 19, 2005 at 05:56 PM
ナットロッカーに原版があるとは!、オドロキの内容でした、まだまだ勉強が足りませんね。
でも<E・L&P>版のカール・パーマーのドラミングは最高ですね。 今でも「展覧会の絵」では泣きが入ってしまいます。 TBありがとうございました。
Posted by: 整体野郎 | Dec 19, 2005 at 05:07 PM