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Dec 18, 2005

オリジナル"NutRocker"

NUTROCKER  先週友人が、NHK-FMから「NutRocker」が流れていたので、懐かしく聴いていたけれど...??!!何か違うと思ったら、B. Bumble & The Stringers という60年代初期のバンドのオリジナル、この番組とても勉強になりました。と、WEBに書いていたので、今日はその曲について。   

 「NutRocker」といえば、エマーソン、レイク&パーマー、71年のライブアルバム「展覧会の絵」収録のアンコール曲が有名。シングルカットされ、当時日本でもかなり売れた。グレッグ・レイクが"Once more music!"とMC後、キース・エマーソンホーナー・クラビネットで響くintro。エマーソンの奏でるキーボード、MoogⅢCMinimoogハモンドC3L-100...。次に64603_0 どんな音、どんなメロディーが出て来るんだろうと、スペクタクル映画を見るように、ワクワクしながら聴いていた。あんな楽器に一度でいいから囲まれて演奏したいと、夢見ていた。ほんとにProgressiveな時代だった。

 原曲は、チャイコフスキーの「胡桃割り人形(NutCracker)」。なのに、アルバムにはKim Fowleyという名が書かれていた。この人は誰?。そう思った人も多くいるだろう。Kim Fowleyは1942年生のアメリカ人。現在63歳。西海岸を中心に、1960年前半から、シンガー、ソングライター、アレンジャー、レコードプロデューサー、プロモーター、マネージャー、パブリッシャkimfowley240903 ー....etc...幅広く音楽活動を展開。これまでに43枚のゴールドディスクを獲得したカルトな音楽業界人。フランク・ザッパ&マザース、ビーチボーイズ、バーズ、ブレッドのデビッド・ゲイツ、レオン・ラッセル、アリス・クーパー、ブルー・オイスター・カルト、プラスチック・オノバンド、キャット・スティーブンス等多くのミュージシャンのプロデュース、共作。中でも、リタ・フォードジョーン・ジェットのいた、ラナウェイズのマネージャーとして、一世を風靡、キッス、ヘレン・レディ、スレイドなどにも楽曲提供して大ヒット。プログレ関連では、アディエマスのリーダー、カール・ジェンキンスが参加していた、ソフトマシーンのデビューシングル「Love makes sweet music」など4曲をプロデュース。Mike Oldfieldと交流のあったPekka Pohjolaが参加していたフィンランドのバンド、ウィグワムのプロデュースなどもしてきた。そんな彼が、62年、B.Bumble & The Stringersのアレンジャー、出版者として、発表されたのが、「NutRocker」だ。

b-bumble EL&Pはキーボード、ベース、ドラムのトリオ編成だが、このB.Bumble & The Stringersはギターを加えたカルテット。架空のスタジオセッションバンドなので毎回メンバーは違っていたが、Al Hazan(Piano)、Sharky Hall(Drums)、Ray Pohlman(Guitar&Bass.The Fifth DimensionBeachBoysのPetSounds、TheByrdsの初期レコーディング等多数参加)、Carol Kaye(Fender Bass.有名な女性スタジオベーシスト、BeachBoys等多数参加)らPhil Spector's Wrecking Crew(※Leon RussellDr.John(本名:Malcolm Rebennack)も参加していた)のメンバーが中心となっていた。クラビネットではなくホンキートンク風ピアノがリード。間奏はなし。とてもシンプルな曲構成だ。EL&Pにはブギウギ風な間奏があり、大変複雑で、ライブで弾くなんてすごいテクニックと当時は感心していたが、後にスタジオで重ねた音だと知った。

al-at-piano  B.Bumble & The Stringersは上記の通り、アメリカ・ハリウッドのセッションバンド。クラシックやスタンダートをポップでダンサブルにアレンジしてヒットを飛ばしていた。実はこの曲、Del Rioという小規模レーベルから、H.B. Barnum(本名:Hidle Brown Barnum1936年7月15日ヒューストン生。ギルバート・O・サリバンや、オズモンズのアレンジャーとしても活躍)がJack B.Nimbleという芸名で演奏したデモバージョンが既にレコーディングされていた。だから本当は、こちらが真のオリジナル。1962年のある朝、Al Hazan(本名:Ali Hassan/歌手名:Al Anthony/シンガーソングライター・プロデューサー)は、Rendezvous Recordsの社長、Rod Pierceから電話があり、これからレコーディングがあるのだが、Ernie Freeman(1922年8月16日クリーブランド生。81年5月15日ハリウッドにて没。フランク・シナトラのピアニストサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」のアレンジャー)の代役でピアノを弾くよう頼まれる。しぶしぶスタジオに着くやいなやJack B.Nimble版を手渡され、ピアノを習得するようにいわれた。(このJack B.Nimble版は後にDot Recordsから発売された。)たった30分聴かされた後、いきなりレコーディング。他のメンバーと上手くリハーサルも出来ていなかったし、その演奏にAl Hazanは不al20hazan2006 満だった。が、社長Rod Pierceは大変気に入り、1テイクでレコーディング終了。レコーディングに使われたハリウッド、Selma AvenueRendezvous Recordsスタジオはとてもプロフェッショナルとは言い難い所で、事務所の待合室兼用ブースにアンペックスのレコーダーと、数本のマイクがある程度。ジョン・ウェインの西部劇映画に出てきそうなホンキートンク(rinky-dink)なサウンドにするため、アップライトピアノのハンマーには金属製の画鋲が挿されていた。

しかし、僅か数週間後、ラジオから流れはじめたら、ミリオンセラーの大ヒット。全米23位。更にイギリスでも大ヒット。Al HazanはB.Bumble となり、出版者のKim Fowleyと共にプロモーションのため渡英。テレビ番組にも出演。全英堂々1位となった。

Bumble Boogie(原曲:リムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」)、Apple Knocker(原曲:ロッシーニ「ウィリアムテル序曲」)など、ブギを基調にポップでダンサブルな、インスト曲も演奏。ベスト盤は数種類出ているようだが、EL&Pのようなキーボート中心のプログレファンにはお薦め。

蛇足だが、キーボーディストAl Hazanはその後数年間音楽活動を続けた後、UCLAで心理学の博士号を取得。現在はサイコセラピストとして活動中。

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